日本文化を代表する華道、茶道等に”流派”があるように、江戸時代中期以降、全国各地に形成された杜氏集団による酒造りにも”流派”があります。
日本酒は、水と米と麹を原料とし、そこに各流派杜氏の酒造技術が加わることにより、日本酒の個性が発揮されるのです。
脈々と受け継がれてきた独自の技術による日本酒造りが、日本酒の輸出拡大に併せ、日本酒文化として評価されるようになり、2024年を目標に、「日本の伝統的な麹菌を使った酒造り技術」をユネスコ無形文化遺産に登録する活動も活発化しています。
しかしながら、この杜氏集団の冬場の出稼ぎ労働によって成り立ってきた日本酒文化は、社会全体の産業構造変化、農業人口の減少、杜氏の高齢化、後継者不足などにより、近時大きなターニングポイントを迎えています。
今回の新シリーズでは、フィールドワークとして、日本各地の杜氏(OBや現役)、蔵元杜氏、社員杜氏の方々を訪ね、未来に向かって杜氏は、酒蔵は、どのような方向に進んでいくのか等々を探求していきます。